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7月4日

美味いうどん作りのための基礎知識:古来の製麺方法を紐解く

うどんにおける「朝練り、即打ち」に関して、昔より当地、香川県は小麦粉の栽培に適した土地柄であった為に、小麦の栽培が盛んで、水車による製粉が行われていました。
小麦粉を練った団子状の食べ物がいつしか食べ易い麺線状となり、これがうどんとなったと言われています。

 

水車製粉で小麦粉を挽いていた為に、小麦粒全体を挽いた全粒粉であった訳です。
全粒粉は小麦粒全体を挽いている為に、外側の色の濃い部分も含み、ミネラル分もたっぷり含まれているが、その分不純物も多く、酵素活性が高く、熟成時間も殆ど不要或いは非常に短くて済むようになります。

 

ところが、現在日本で使われている麺用小麦は大半がオーストラリアからの輸入でまかなわれており、更に小麦の中心部分の特等粉、一等粉しか使用していないので、無漂白にもかかわらず、真っ白な色をしています。
その為に酵素活性が低く、十分な熟成時間を取らなければ、酵素の働きによる小麦粉の真の美味しさを引き出せません。
要するに、第一の問題点は熟成をしないことにより、酵素の働き不良で味の改善が出来ないということなのです。

 

昔よりさぬきうどん作りの作法は熟成時間を取らない「朝練り、即打ち」という方法で行われてきました。昔は香川県ではうどん玉を製造するのは製麺業であり、うどん店は自分では麺を作らずに、製麺業で作った麺を買って温めて提供するのが仕事でした。

製麺業は早朝より粉を練り、足で踏んで鍛え、生地を団子状に丸めて、座布団状に薄く足踏みして、麺棒で圧延し、庖丁で切り、茹で釜で茹で上げます。
更に茹で上がった麺をうどん店とか小売店までの配達を午前中に終えなければなりません。そして殆ど熟成時間を取らないのが特徴でした。

 

これは上記の様に水車製粉による全粒粉を使っている為に可能でしたが、現在我々が使用している灰分が低く、酵素活性の低い小麦粉をすると良い商品が出来ません。

 

そこで現在の讃匠ではミキシング後の第1熟成は28度cでは2時間、25度cの場合は3時間、プレス後の第2熟成は18度cの場合1晩、16度cの場合は2晩熟成を行っています。この様な温度条件になるのは年間では5月中旬と9月末から10月にかけてわずか1~2週間の短い期間しかありません。

 

そこで当社では業界で初めて熟成という概念を打立てて、熟成時間と熟成温度との関係を確立しました。そして誰でも簡単に熟成を正確にコントロール出来る熟成庫『寝太郎』を開発して販売を行っているのです。
最近では熟成の必要性が徐々に認識されはじめてきていますが、温度と時間の関係を正確に認識していない為に、トンでもない間違いを起こしている事例をよく耳にします。例えば、熟成を冷蔵庫で行ってしまうこと。

 

熟成は冷蔵庫では出来ません。温度が低すぎるのと温度が正確にコントロール出来ない為です。生地温度のコントロールは非常に微妙です。

例えば、あなたは温泉に行って丁度良い湯加減の湯と熱い湯(高温の湯で連続して湯船につかることが出来ない様な熱い湯)が何度であるか調べたことがあるでしょうか。
驚くなかれ、この温度差は2度しかないのだ。通常、丁度良い湯加減の湯は40~41度cであるが、高温の湯は42~43度cである。次回、温泉に行った時によく確かめていただきたい。

 

そして当社が独自で見つけだしたこの熟成条件はたまたまヨーロッパで昔から行われてきた天然酵母を使用し、自然醗酵でのパン製法の醗酵条件と同一だといいます。
同じ小麦粉を使ったパンとうどんが同じ熟成条件であったとは何かの共通した原理原則に従っているとしか思えません。
しかし、今でもやはり、香川県の手打うどん店にはこの「朝練り、即打ち」の製法が受け継がれています。
熟成にはまだまだ重要な要素が隠されています。第1、第2熟成では更に次の様な重要な効果があります。

第1熟成:練り合わせた小麦粉の粒子1粒1粒にまで完全に水分を浸透させる。(第1熟成のみ)

第2熟成:ミキシング或いは、鍛え工程時に麺生地の中に発生したストレス(内部応力)を完全に取り去ってやる。

ミキシング或いは鍛え工程等で、麺生地に力が加わると生地内部に内部応力(ストレス)が発生します。麺生地も人間と同様に生き物なのです。
人間も毎日一生懸命に働いた後で、十分な睡眠をとって溜まったストレスを発散しなければ、健康に生き続けることが出来ません。
人間の睡眠に相当するのが、麺生地では熟成に当たるのです。
健康な人間を作る(維持する)為には、十分な睡眠が欠かせないのと同様に美味しい麺作りには十分な熟成が必要なのです。

ミキシングされたばかりの生地や、鍛えられたばかりの生地のグルテンは張り詰めた状態で、更に連続して力を加える(鍛える)とグルテンの組織はその力に耐え切れず破壊、切断されてしまいます。必ず生地を休ませてグルテンの緩和を図ることが大切です。つまり、生地は「鍛えては休め、鍛えては休め」が原則なのです。

グルテンの性質はチューインガムの様な物質です(実際にはチューインガムより更に延びにくい)。そのグルテンを一気に引延ばした場合、力に耐え切れず、グルテン組織は切れてしまいます。
この様なミキシング、生地の鍛え方、圧延の仕方は避けるべきです。

一度力を加えた後、熟成時間を取ることで、緊張していたグルテンは緩和し、次の鍛え(組織の変形)に耐えられる訳なのです。一般的には「うどんは鍛えれば鍛えるほど、こしが強くなる」という迷信があるが、これは間違いです。

正確には「ほどよく鍛えてしっかり休ませ、グルテンが緩んだ後で次の加工にかかる」のが良い訳です。
この十分にして必要な熟成条件が上記の温度と時間なのです。

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